顧客ニーズに応じた新しい営業手法で未来を切り拓く:東亜青果株式会社の挑戦
変わりゆく市場環境と新たな営業スタイルへの必要性
鳥取県米子市に拠点を構える東亜青果株式会社は、野菜・果物及びその加工品の販売を中心に、卸売市場を舞台にした事業展開を続けてきました。しかし、近年では消費者の購買行動の変化や販売先の多様化により、従来の営業スタイルでは対応が難しくなっていました。特に、取引先が八百屋からスーパーマーケットなどのチェーンストアへと変化し、計画販売やデータドリブンな営業が求められるようになったことが課題となっていました。
これまでの「良いものを売る」というプロダクトアウト型の営業から、顧客ニーズに応じた「価値提案型」の営業への転換が必要でしたが、長年の慣習から抜け出せず、社内だけでは変革が進みにくい状況でした。そこで、外部の副業人材を活用し、新たな営業スタイルの導入を進めることになりました。
副業人材の活用で得た新しい視点とノウハウ
今回、同社は「大手企業で整理されたノウハウを持つ人材」と「消費財を扱う企業経験を持つ人材」を条件に、副業人材の採用を決定しました。採用された前田氏は、ライオン株式会社で店舗営業や販売戦略の立案に携わってきた経験を持つプロフェッショナルです。彼の経験を活かし、同社は新しい営業手法の導入と営業社員のスキル向上を目指しました。
前田氏はまず、オンラインセミナーを通じて同社の営業社員約20名に「新しい営業の考え方」を伝えました。このセミナーでは、顧客ニーズを掘り下げる手法や、データ分析に基づく営業計画の重要性、顧客との関係構築における注意点などが共有されました。特に「顧客に自分の利益を考えていると思われないことが信頼関係構築の基本」というアドバイスは社員たちに大きな印象を残しました。
社員教育と営業スタイルの変革への効果
オンラインセミナー後、社員からは「業界の慣習から脱却し、新しい視点を得られた」との声が寄せられ、セミナー内容が営業活動に良い影響を与えていることが確認されました。また、これまでは特定の慣れた手法に頼りがちだった営業メンバーも、セミナーで得た知識を実践し、試行錯誤を繰り返しながら新しい営業手法を取り入れています。
さらに、前田氏のアドバイスに基づき、個別案件における具体的な攻略方法も提供され、営業活動の効率化が図られています。例えば、大手チェーンストアに対する提案資料の改善や、商談の進め方の工夫がなされ、顧客からの信頼度が向上しました。
外部人材の活用で得られる新たな可能性
副業人材の活用は、単に新しいノウハウの提供に留まらず、社員に変化の必要性を認識させ、行動を促す効果もありました。同社の社員にとって、前田氏の存在は「外の世界」の視点を持ち込み、変革を実現するための原動力となっています。また、とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点との密接な連携により、的確な人材とのマッチングが実現しました。
経営者である秦野社長も「内部だけでは変化に対する抵抗感が強くなりがちだが、外部人材が入ることで変革の重要性を社員に認識させられた」と述べ、外部人材の活用の効果を高く評価しています。
営業手法の進化が生む新たな未来
東亜青果は、外部人材の知見を活かしながら、業界に根付いた従来の営業手法からの脱却を進めています。同社の挑戦は、地方の中小企業が抱える課題を克服するモデルケースとなる可能性を秘めています。
今後は、オンラインセミナーや個別指導の内容をさらに発展させ、営業メンバー全体のスキルアップを図るとともに、新しい営業手法を全社に浸透させる取り組みが続けられます。また、データ分析や顧客ニーズの把握を強化し、変化する市場環境に柔軟に対応することで、さらなる成長を目指します。
東亜青果の事例は、変化する市場に適応するための具体的な手法と外部人材の活用効果を示すものとして、他の中小企業にも大きな示唆を与えるものです。同社が今後どのように進化していくのか、その取り組みから目が離せません。