折込チラシからSNS集客へ：新たなマーケティング戦略の挑戦
地域密着型の住宅営業における新たな課題
鳥取県鳥取市に本社を構えるいなばハウジング株式会社は、建築工事業や給排水設備工事を中心に事業を展開する地域密着型の企業です。同社はこれまで新聞折込チラシを主な広告手段としてきましたが、ターゲット層である30～40代の顧客が新聞を購読しなくなり、広告の効果が薄れていることが課題となっていました。
一方で、周囲の工務店がSNSを活用して新規顧客を開拓する様子を目にし、自社でもSNSを使ったマーケティングに挑戦したいという意欲がありました。しかし、SNSに不慣れなため、一歩を踏み出せずにいました。そんな中、「とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点」から副業人材の活用を提案され、SNSマーケティングに詳しいプロ人材の採用を決意しました。
SNSマーケティングの活用と具体的な取り組み
副業人材として採用された松本氏は、SNSマーケティングの実績が豊富で、ターゲット層に効果的にリーチするための戦略立案を得意としています。彼はまず、同社が目指すべきゴールとターゲット層を明確化しました。その結果、「地元鳥取で新築住宅を検討する30～40代」に絞ったマーケティングプランを立案し、具体的なアプローチ方法を提示しました。
たとえば、地元の顧客層に響く投稿内容を提案し、「共感」や「興味」を引き出す投稿を通じて、フォロワーを増やす施策を実行。また、投稿内容の効果を分析し、次の改善点を迅速に導き出すPDCAサイクルを確立しました。その結果、目標の1,000フォロワーをわずか5か月で達成する成果を上げました。
SNSマーケティングがもたらした効果
SNSマーケティングを活用することで、いなばハウジングは以下の3つの効果を実感しています。
- 認知度の向上
SNSを通じて、これまで広告の届かなかった顧客層にリーチできるようになり、「いなばハウジング」という名前の認知度が向上しました。 - ブランドイメージの強化
地元密着の強みをアピールする投稿や、丁寧な住宅施工の様子を公開することで、「信頼できる地元の工務店」というブランドイメージを確立しました。 - ロイヤルティの向上
フォロワーが投稿内容に共感し、コメントや「いいね」で関与してくれることで、顧客とのつながりが強化されました。
SNS導入の成功を支えた要因
SNSマーケティングの成功を支えたのは、松本氏のプロフェッショナルなスキルだけではありません。同社がSNS活用に積極的に取り組む姿勢も、大きな要因となりました。
たとえば、松本氏はターゲット層に合わせた投稿戦略の重要性を説きました。「地元の工務店にとって、東京や大阪のフォロワーが増えても意味がない」と指摘し、地域密着型の投稿内容を強化。さらに、フォロワーを惹きつけるためにオンラインイベントの企画も提案しました。
これらの取り組みは、地元顧客に響く投稿を実現するだけでなく、社員にも「地元でのブランド力を高める」という意識を浸透させました。
経営課題の解決とさらなる挑戦
いなばハウジングが抱えていた「広告効果の低下」という課題は、SNSマーケティングの導入により大きく改善されました。同社は現在、SNSを通じて新規顧客との接点を増やしつつ、顧客満足度の向上にも取り組んでいます。
さらに、同社はSNSの効果を最大化するために、投稿内容や広告施策の改善を継続し、地域に根ざした営業戦略を強化しています。これにより、顧客との信頼関係を築きながら、地元でのシェアを拡大することを目指しています。
地域密着型の成功モデルを全国へ
いなばハウジングの事例は、地域密着型の住宅営業におけるSNS活用の成功モデルとして、多くの同業他社にとって参考になるものです。副業人材を活用して経営課題を解決し、新たなマーケティング手法を取り入れることで、企業の成長に必要な変革を実現しました。
この取り組みは、単なる売上増加にとどまらず、地域との結びつきをさらに深める新しいビジネスモデルの構築へとつながっています。同社の挑戦は、今後も多くの企業にインスピレーションを与えることでしょう。
