従業員主体のリーダーシップで企業理念を浸透、組織力を強化
ハートスフードクリエーツ株式会社は、求食事業や食育、フードコンサルティングなどを展開する企業で、創業から10年目を迎えています。従業員数は100名を超え、事業所数も20箇所に達するなど成長を続けている一方で、組織体制の課題が浮き彫りになっています。特に、点在する事業所ごとの業務品質にばらつきが見られ、企業理念の浸透が十分ではない状況に直面していました。
この課題を解決するため、同社は企業理念を共有し、従業員全員が共通目的を持つ体制の構築に取り組むことを決意しました。しかし、事業所が本社から離れていること、エリアマネージャーの巡回頻度が限られていることから、トップダウン型のアプローチでは不十分だと判断。現場から意見を吸い上げるボトムアップ型の課題解決プロジェクトを始動させました。
プロ人材の導入によるボトムアップ型アプローチの実現
プロジェクト成功のカギを握るのは、現場で働く従業員が主体的に企業理念を理解し、日々の業務に反映させる仕組みをつくることです。そのため、企業理念の浸透状況を評価するための行動チェックリストを作成するプロジェクトが設置されました。このリストは経営者やエリアマネージャーが一方的に作成するのではなく、従業員が主体的に関わり、自分事として考えられる形で進められました。
プロジェクトを円滑に進行するため、組織マネジメントや品質管理に豊富な経験を持つプロ人材を活用することに。副業人材として採用された松本氏は、大手企業での経験を活かし、ファシリテーターとしてプロジェクトの進捗管理を担うだけでなく、従業員間の建設的なコミュニケーションを促進しました。松本氏の「寄り添い型」のサポートにより、従業員が率直な意見を交わす場が生まれました。
具体的な活動と成果
松本氏はまず事業構造の整理から着手。各事業所責任者を小グループに分け、経営理念を行動に落とし込むためのチェックリストの項目案を抽出するワークショップを実施しました。従業員から挙がった約200項目の案を整理し、「人」「モノ」「環境」「その他」の4カテゴリに分類。その後、現場の意見を集約し、経営理念の要素を反映させたリストへとブラッシュアップする作業が進められています。
このプロセスにより、単なる指示待ちだった従業員が自ら課題を考え、解決策を提案する主体的な姿勢を持つようになりました。また、リーダーシップを発揮する従業員が増え、従来不足していたコミュニケーションの活性化や共通目的の共有が進んでいます。
企業理念を基盤とした組織風土の確立へ
今回の取り組みを通じて、同社は企業理念を組織全体に浸透させ、業務品質の向上を目指しています。プロジェクトによって醸成された「コミュニケーション」「貢献意欲」「共通目的」の3つの組織要件は、同社の成長を支える基盤となるでしょう。
プロ人材のサポートを受けたことで、従来のトップダウン型管理では成し得なかった変革が実現されました。特に「寄り添い型」のアプローチが従業員の受け入れやすさを高め、プロジェクトを成功に導く大きな要因となりました。同社は今後もこの取り組みを進化させ、中小企業が抱える共通課題に対する成功モデルとして注目される存在となることを目指しています。
プロ人材の活用で、中小企業の未来を切り拓く
中小企業が直面する経営課題の解決において、プロ人材の活用は非常に有効な手段です。今回のハートスフードクリエーツ株式会社の事例は、外部の視点を取り入れることで、企業理念を具現化し、組織力を強化する一例となっています。今後、同社がさらなる成長を遂げるために、この取り組みが大きな原動力となるでしょう。