電気回路設計のプロ人材で新製品開発を加速
モリテック スチール株式会社は、特殊帯鋼や金属加工品の製造・販売を手掛ける企業として、自動車部品や家電部品を中心に幅広い分野で事業を展開してきました。その中で、特に注力しているのが、ゼンマイ技術を活用した製品開発です。同社は、これらの技術を活かし電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)向けの充電スタンドの開発を進めています。
しかし、技術者不足の課題に直面。そこで、電気回路設計の専門知識と豊富な経験を持つプロ人材の採用に踏み切りました。結果、製品開発を推進すると同時に、社員の成長や新たな事業モデル構築にも貢献することとなりました。
技術者不足を乗り越えるプロ人材の必要性
EVやPHVの普及を背景に、同社はゼンマイバネや巻き取り技術を活用した充電スタンドの開発に取り組んでいます。しかし、この分野の中核を担う電気回路設計の技術者が定年を迎え、社内での技術継承が滞る危機に直面していました。また、外部からの人材確保も難航。これにより、充電スタンドの開発が遅延する可能性が浮上しました。
技術者不足を補うだけでなく、設計からプロジェクト管理、後進の育成まで担える人材が不可欠と考えた同社は、プロフェッショナル人材拠点を活用。電気回路設計の豊富な経験を持ち、幅広い業務を担える人材を求めました。
採用されたプロ人材の特長と成果
採用された栖原氏は、大手電機メーカーで20年以上にわたる設計・開発業務の経験を持ち、新商品の工程設計やプロジェクトマネジメントも手掛けてきた実績を持つプロ人材です。同社の求めるスキルや経験を満たすだけでなく、業務効率化や社員育成への貢献が期待されました。
栖原氏が着任してから、以下の成果が挙がっています:
1. 電気回路設計の強化
栖原氏は、同社のケーブル自動巻き取り式充電スタンドに採用されている「無接点方式」の設計改良に着手しました。この技術は業界初の採用であり、同社製品の競争力を大きく向上させるものです。栖原氏の知識・経験を活用し、製品の信頼性や品質向上に貢献しています。
2. 後進の育成と組織力の向上
栖原氏は、OJTを通じて後進の育成にも力を注いでいます。日常的な業務や朝礼で自身の経験を共有することで、社員に技術的な学びを提供。これにより、社員の技術力向上と組織全体の意識改革が進みました。
3. プロジェクト管理への着手
栖原氏は、複数部署との連携を強化し、プロジェクトマネジメントの体制整備を進めています。プロジェクトの効率化と成果の最大化を目指し、社内外の関係者と協力しながら業務を推進しています。
新たなビジネスモデルの構築へ
モリテック スチールでは、Kプロジェクト「変わる、変える、変えていく」を掲げ、これまでの製造中心のビジネスモデルから、新たな価値を生む事業モデルへの転換を目指しています。このプロジェクトの一環として、充電スタンドの開発は同社の次世代事業の柱と位置付けられています。
栖原氏の採用は、この変革を加速させる鍵となりました。同氏の経験を活かし、技術的な課題解決だけでなく、ビジネスモデル構築や社員育成など多方面にわたり成果を上げています。
プロ人材の活用で未来を切り開く
今回の事例は、技術者不足という課題に直面しながらも、外部のプロ人材を活用することで解決への道を切り開いた好例です。特に、充電スタンド開発において、専門的な知識を持つ人材の存在がいかに重要であるかを示しています。
また、プロ人材を活用することで得られるメリットは、技術力の補強にとどまりません。組織全体のスキル向上やプロジェクト管理の改善、さらには新たな事業モデル構築への貢献など、企業の成長を多角的に支援します。
この取り組みは、技術者不足に悩む他の製造業にとっても、課題解決のヒントとなるでしょう。同時に、プロ人材の力を最大限に引き出すための準備と、受け入れ体制の重要性も強調されています。
モリテック スチールは、今後も新たなビジネスモデルを模索しながら、成長を続けていくことでしょう。この成功事例は、同社だけでなく、広く業界全体の模範となるものです。