医療機器の海外展開を加速する戦略――山陽精工株式会社の挑戦
山梨県大月市に本社を構える山陽精工株式会社は、医療機器と産業機器の製造販売を手掛ける企業です。同社は「自分の子供を就職させたい会社」を経営理念とし、精密切削加工をベースとしたモノづくりから事業を拡大してきました。
特に医療機器事業では、国内市場の拡大に加え、海外市場でのシェア拡大を目指しています。しかし、海外市場における商慣習の違いや営業戦略の不足が課題となり、事業展開が思うように進んでいない状況でした。この課題に対処するため、山陽精工はプロ人材を迎え入れ、事業戦略の見直しと組織力強化に取り組みました。
海外展開における課題とプロ人材の導入
山陽精工は、自社開発の医療機器を海外市場に展開していましたが、特にマーケティング戦略と営業体制の不足が課題として浮き彫りになっていました。既存顧客の深堀りや新規顧客の開拓に向けたABC分析やターゲット市場の選定が不十分であったため、顧客獲得に苦戦していました。
また、海外市場でのブランド力を確立するには、単なる製品の販売にとどまらず、効果的なマーケティングや現地との円滑なコミュニケーションが必要でした。このような背景から、山陽精工はプロフェッショナル人材拠点に相談し、海外営業およびマーケティングのエキスパートである今井氏を迎え入れることとなりました。
プロ人材による戦略的な取り組み
今井氏は、大手OA機器メーカーでの海外子会社会長職などを歴任した実績を持ち、営業・マーケティング・マネジメントの知見を豊富に有しています。入社後、今井氏はまず既存顧客のABC分析を行い、自社の強みを再定義しました。これにより、潜在顧客や新たな市場への訴求力を高め、他社との差別化を図る具体的な方向性を打ち出しました。
また、営業プロセスを見直し、海外営業部門のリーダーとして個々のメンバーの能力向上を目指しました。特に、プレゼン資料の作成や効果的なプレゼン技術の指導を通じて、メンバーのスキルアップを促進。さらに、チーム全体の連携を強化し、組織力を底上げする施策を実行しました。
ブランド力向上と営業戦略の成果
今井氏のリーダーシップのもと、山陽精工は自社のブランド力向上に向けた具体的な取り組みを展開しました。たとえば、ホームページのリニューアルや展示会での製品PRに注力し、国内外の顧客に向けて自社の技術力と信頼性をアピールしました。
また、新たな顧客開拓の一環として、ふるさと納税という新しい流通チャネルの検討も進められました。これにより、地方自治体との連携を強化し、地域社会への貢献を図ると同時に、新たな収益源を確立する基盤を構築しました。
チーム力の向上と組織の一体感
今井氏は、単なる業務推進にとどまらず、組織全体の力を高めることにも注力しました。リモートワークを導入しているメンバーとのコミュニケーションを密に行い、チームワークの醸成に努めました。これにより、メンバーの間での信頼感と一体感が生まれ、効率的かつ効果的なチーム運営が実現しました。
さらに、組織全体の視点で課題を俯瞰し、限られたリソースで最大の成果を引き出すプロセスを構築。これにより、メンバー全員が自ら考え行動する企業文化が育まれました。
成果と今後の展望
今井氏の取り組みにより、山陽精工は海外市場での売上拡大に向けた基盤を築くことができました。営業およびマーケティング部門の体制が強化され、顧客獲得とブランド力向上に寄与しています。
同社は今後も、海外市場でのプレゼンスを高めるため、戦略的な施策を進めていく方針です。今回のプロ人材の導入は、単なる課題解決にとどまらず、持続可能な成長を実現するための大きな一歩となりました。
山陽精工の事例は、地方企業がグローバル市場で競争力を高める成功モデルとして、多くの企業にとって有益な教訓を提供しています。