品質管理体制の確立と検査精度向上に向けたプロ人材の活用

課題:高品質リサイクル原料の需要拡大に対応する品質管理体制の強化
協栄産業株式会社は、使用済みPETボトルを飲料用ボトル原料へリサイクルする国内初の技術を2011年に確立し、飲料用や高級化粧品容器に使用される高品質なリサイクル原料を生産しています。需要は増加を続けていますが、「不純物」「水分率」「色目」などの品質基準が厳格に求められる中で、品質管理体制の未整備が課題となっていました。特に主力工場である小山工場では、専属の品質管理責任者が不在であり、体制の早急な確立が求められていました。

品質管理の要である検査精度の向上や、データの「見える化」とその活用が必要とされる一方で、若手社員が中心となる現場では経験不足が問題となり、知識とノウハウの伝授が急務となっていました。さらに、新工場の稼働や需要拡大への対応には、製造部門や営業部門と連携を図りながら品質を「つくり込み」保証する体制の確立が不可欠でした。

プロ人材の採用:品質管理部門の専属責任者を確保
こうした状況の中、協栄産業はプロフェッショナル人材戦略拠点を活用し、品質管理部門の専属責任者として関氏を採用しました。関氏は大手半導体・基板製造業で31年間にわたり品質管理に携わり、部門責任者を務めた経験を持つスペシャリストです。合同企業説明会で出会い、同氏の豊富な知識と経験、さらに積極的な姿勢に共感したことから即時採用を決定しました。

入社後、関氏は2か月間にわたり製造現場での研修を受け、製品の製造工程や実際の製品に関する知識を深めました。その後、製造管理部門と品質管理部門に従事し、組織に慣れながら品質管理室専属として本格的に業務を開始しました。この段階的な導入プロセスにより、関氏は現場理解と組織連携を強化しながらスムーズに役割を担うことができました。

品質管理体制の整備:データ活用と部門連携の強化
関氏がまず取り組んだのは、品質管理体制の基盤整備です。検査工程の実務を把握すると同時に、データの「見える化」を推進しました。この取り組みにより、品質データの傾向値を分析し、製造部門との連携を強化することで、品質向上に向けた具体的なアクションを実現しました。

また、派遣社員や若手社員が中心となる検査業務では、精度維持のためのノウハウを伝授し、メンバーのスキル向上に努めました。さらに、品質管理室を備える3工場の主要メンバーを集めた品質保証連携会議や勉強会を定期的に開催し、小山工場の責任者として積極的に発言しリーダーシップを発揮しています。

成果と展望:品質向上を基盤とした事業拡大
関氏のリーダーシップにより、小山工場の品質管理体制は大きく強化されました。具体的には、データの「見える化」とその分析により、製造プロセス全体での品質の一貫性が向上し、製品の信頼性が高まりました。さらに、他部門との円滑な連携が促進され、品質保証体制全体の効率化が進みました。

協栄産業は、関氏の経験と知見を活かし、リサイクル原料のさらなる品質向上と需要拡大に対応する体制を整えつつあります。同氏の指導の下、社員のスキルも向上し、現場と管理部門が一体となった組織風土が醸成されつつあります。

今後は、これらの成果を基盤に事業拡大を目指し、リサイクル技術の革新と品質向上を推進していく方針です。協栄産業の取り組みは、プロ人材を活用した中小企業の経営課題解決の成功事例として、多くの企業にとって参考となるでしょう。

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