プロ人材の力で船舶代理店業務を拡充、地域物流の未来を創造
ベテラン社員の退職が引き起こした経営課題
1941年創業の三陸運輸株式会社は、宮城県塩竈市を拠点に、港湾運送業や通関業、船舶代理店業などを展開しています。仙台塩釜港という国際拠点港湾で長年にわたり地域物流を支えてきました。しかし、同社が長年の柱としてきた船舶代理店業務を担っていたベテラン社員が退職したことで、後継者の確保が急務となりました。
船舶代理店業務は、船舶の入出港手続き代行や外国人船員の緊急対応など、多岐にわたる業務を迅速かつ的確に行うリーダーシップが求められる役割です。若手社員では対応が難しいイレギュラーな状況に対応するため、同社は即戦力となるプロ人材の採用を決断しました。
変化する物流環境と新たな課題
近年の物流環境は、貨物のコンテナ化に伴い中小型在来船の入港隻数が減少する一方、大型コンテナ船の利用が増加するなど、大きな変化を遂げています。さらに、東日本大震災後の復旧貨物輸送が落ち着いたことで、仙台塩釜港の貨物量も減少傾向にあります。この状況の中で、船舶代理店業務の営業力向上と新たな付加価値を生み出すことが同社にとって重要な経営課題となっていました。
また、クルーズ船誘致活動が活発化する中で、クルーズ船対応を含む新規業務の取り込みも急務でした。これにより、従来の枠を超えた業務の拡張と付加価値創出が求められるようになったのです。
プロ人材の採用で課題を解決
このような課題に対応するため、同社は人材紹介会社を活用して、経験豊富なプロ人材を採用しました。このプロ人材は、長年物流業界で培った知識と経験を活かし、仙台塩釜港の船舶代理店業務を担うとともに、管理体制の見直しや新規業務の開拓に注力しました。
入社後、この人材は旧来の業務体制を見直し、効率化を図りました。労務管理を改善し、働きやすい職場環境を整えることで、船舶代理店部の業務効率が大幅に向上しました。また、新たに学術調査船やクルーズ船などの代理店業務を取り込み、同社の付加価値向上に寄与しました。
新規業務と付加価値の向上
プロ人材の活躍により、船舶代理店部の付帯業務収入は、入社前と比較して2倍以上に増加しました。この成果は、新規業務の開拓と既存業務の付加価値向上がもたらしたものです。特にクルーズ船関連業務では、前職の経験を活かしながら、迅速かつ的確な対応で顧客満足度を向上させました。
さらに、入港隻数が減少する中で、本業の減収を補うだけでなく、関連業務収入が会社全体の収益基盤を支えるまでに至りました。これにより、同社は安定した経営を維持しつつ、新たな成長戦略を描ける体制を整えました。
地域物流の未来を担うリーダーシップ
プロ人材は単に業務を遂行するだけでなく、後進の育成にも注力しています。若手社員への指導を通じて、次世代のリーダーを育てることで、持続可能な組織体制の構築を目指しています。この取り組みは、同社の経営基盤を強化し、将来的な事業承継を円滑に進めるための重要なステップとなっています。
新たな価値創造への挑戦
三陸運輸株式会社は、プロ人材の採用を契機に、旧来の業務から新たな価値を創造するステージへと進化しました。船舶代理店業務の営業力向上、付加価値向上、新規業務開拓など、課題解決と同時に新たな成長基盤を構築しています。
今後も、地域物流の中核を担う企業として、さらなる業務効率化と付加価値向上を目指し、クルーズ船誘致や学術調査船対応などの新規プロジェクトに積極的に取り組む予定です。
まとめ
三陸運輸株式会社は、プロ人材の力を活用し、船舶代理店業務の効率化と付加価値創出に成功しました。この取り組みは、地域物流の未来を担う企業としての責任を果たすだけでなく、同業他社にとっても参考となるモデルケースです。同社のさらなる発展が期待されます。