国際品質認証「Nadcap」取得への挑戦:中部熱処理が航空宇宙産業に進出する理由
航空宇宙産業参入で新たなステージへ
岐阜県関市に拠点を構える株式会社中部熱処理は、金属熱処理加工を主力とする企業です。創業以来、地域産業を支えてきた同社が新たに目指すのは、品質要求が極めて高い航空宇宙産業への参入です。ISO9001の運用を基に、JIS Q 9100を取得した同社は、さらなる飛躍として国際品質認証「Nadcap」の取得を掲げています。この目標達成に向けて、プロフェッショナル人材の活用が鍵を握りました。
Nadcap取得への課題と人材要件
航空宇宙産業は、品質管理の厳格さと国際基準の適合が求められる業界です。Nadcapの審査では、英語での対応や専門的な技術知識が必須であり、社内には対応可能な人材がいませんでした。この課題解決のため、Nadcap審査経験を持つ外部プロ人材の採用に踏み切りました。
プロ人材が担った役割
採用された松木氏は、アメリカの大学で学び、大手メーカーでNadcap審査対応に従事した経験を持つ専門家です。入社後、以下のような業務を推進しました:
- 国際仕様書の翻訳:Nadcap審査で必要な文書を英語から日本語に翻訳。
- 品質管理システムの確立:JIS Q 9100基準の内部監査員資格を取得し、社内標準化を主導。
- 審査対応の準備:審査書類の整備や専門講座の受講を通じて、審査に万全の体制を構築。
これにより、Nadcap審査の準備が進み、将来的な航空宇宙業界参入の基盤が整備されました。
働きがいと挑戦の醍醐味
松木氏は「ゼロからシステムを築き上げる経験は大変だが、一つ一つをクリアすることでやりがいを感じる」と語ります。前職では経験できなかった領域に挑戦し、自身の成長を実感しています。
経営者の声:さらなる飛躍への期待
同社は、「品質管理の高度化が企業価値の向上につながる」と強調します。特に、航空宇宙産業参入において、Nadcap認証取得は避けて通れないハードルです。松木氏の採用により、このハードルを越える可能性が現実味を帯びてきました。「トレーサビリティを徹底できる人材がいなければ、目標達成は不可能だった」と語る経営陣は、松木氏の貢献に大きな期待を寄せています。
未来への展望
中部熱処理は、Nadcap認証取得を足がかりに、航空宇宙産業での地位を確立し、取引先業界の拡大を図ります。プロフェッショナル人材の力を借りて、同社は新たな挑戦を続けていくでしょう。この事例は、地方企業が専門人材を活用し、新市場への進出を成功させる好例と言えます。
中部熱処理が築く未来は、品質管理を極め、地域産業とグローバル市場を結ぶ架け橋となるものです。