営業力強化と新商品開発で販路拡大を実現する菓子メーカーの挑戦
地域密着型菓子メーカーの課題と新たな挑戦
愛媛県松山市に拠点を構える株式会社一六は、地域に根ざした菓子製造販売を行い、郷土菓子「一六タルト」や「しょうゆ餅」などで広く知られています。同社は観光地や交通拠点のお土産店への卸売を中心に事業を展開してきましたが、少子高齢化による市場人口の減少が売上に影響を及ぼし、将来的な成長に向けた課題が浮き彫りになりました。
一方で、県外にも長年取引のある法人顧客が存在していたものの、これまで県外への積極的な営業活動は行われていませんでした。営業ノウハウの不足や営業戦略の欠如が主な課題となっており、県外市場への進出を強化することで売上の回復とブランド価値の向上を目指す必要性がありました。
プロ人材による営業力強化と教育
こうした課題に対し、同社は流通業の法人営業に精通し、リーダーシップを発揮できるプロ人材を採用することを決定。プロフェッショナル人材戦略拠点を活用し、全国的にも有名な食品メーカーで豊富な営業経験を持つ髙橋氏を迎え入れることになりました。
髙橋氏は、自身の経験を生かして既存の法人顧客への営業強化を行うとともに、若手営業社員の育成にも注力。営業手法や顧客対応について具体的な指導を行い、チーム全体の営業力を向上させることに成功しました。その結果、法人営業部門の売上は堅調に伸び、特に2020年のコロナ禍において前年比124.8%という成長を遂げました。
新商品の開発による販路拡大
髙橋氏のリーダーシップによって既存商品の売上が伸びる一方、さらなる成長のためには新商品による販路拡大が必要であるとの課題が浮上しました。これを受け、既存の商品と競合しない「チルド商品」の開発に着手。同社の強みである愛媛の郷土菓子の要素を活かし、付加価値を加えた新商品を市場に投入しました。
新たなチルド商品は、特にコロナ禍での内食需要の増加と相まって好調な売上を記録。注文数は年々増加し、同社の新たな主力商品として成長を続けています。この成功は、商品開発だけでなく、販売戦略やターゲット市場へのアプローチの見直しも奏功した結果です。
異業種の視点を活かした経営改革
髙橋氏の採用は、異業種からの視点を取り入れることで、従来の固定観念にとらわれない新たな営業戦略を生み出しました。これまで県内市場に依存していた同社の営業活動が、全国展開に向けた基盤を築きつつあります。
さらに、髙橋氏は営業活動にとどまらず、商品MDやマーケティング、事業計画策定など、経営全般にも関与。企業運営に広く携わる中で、社員との信頼関係を構築し、組織全体の成長を促進しています。
プロ人材の活用がもたらす未来への展望
株式会社一六の事例は、プロ人材を活用することで経営課題を解決し、持続的な成長を実現した好例です。営業力の強化と新商品の開発により、地域密着型の菓子メーカーが全国市場への扉を開くことができました。
少子高齢化やコロナ禍といった厳しい環境下でも、柔軟な対応と戦略的な取り組みによって新たな成長を遂げています。今後もプロ人材の力を活かし、郷土菓子の魅力を全国に発信し続けるとともに、地域経済の活性化に寄与する存在として注目されるでしょう。